ある2年前の試合


一昨日、自分で「強豪を倒す無名の私立高校」という内容のブログを書いていて、

ある2年前の試合を思い出しました。


   横浜10−1港北


結果だけを見れば何でも無い

強豪校が無名の公立に圧勝したという試合ですが、

試合内容はとても素晴らしいものでした。


横浜高校とは説明するまでも無いかもしれませんが、

松坂をはじめとする数々のプロ野球選手を輩出してきた名門中の名門です。

ちなみに2年前のチームは春の甲子園の準優勝校で、

今ロッテにいる成瀬という投手がエースピッチャーで、

今年の西武のルーキーで、一軍でも投げている当時2年生の涌井もいました。

それに対する港北高校とはただの無名の公立高校で、当時僕の姉が在学していた学校でした。

で、その関係もあってテレビ中継を見ながら姉と港北高校を応援していたんですが、

正直僕も、姉も、そして多分テレビを見ているほとんどの人も

横浜の勝利を疑っていませんでした。

しかし試合は思わぬ展開を見せました。


まぁ正直細かいところまでは覚えてないんですが、w

横浜の先攻で試合は始まり、

一回の表の攻撃は無得点。

そして試合が動いたのはその裏でした。

キャプテンで捕手の一番バッターがこの日先発の涌井から(確か初球を

ライトオーバーの三塁打を打ったんですよ!

そして続く二番バッターの人もなんとライト前へヒットを放ち、

これで港北高校が先制点をあげました!

結局この回はこのまま終わり、港北が一点リード。

・・・とまぁここまでは、相手投手の立ち上がりを攻めて先制するという

よくあると言えばよくある展開なんですが、この試合はここからが凄かった・・・。

横浜高校が何度も何度も決定的なチャンスを作るんですが

ピッチャーの人の粘り強いピッチングと野手の気迫の守りで横浜高校に点を与えませんでした。

そしてリードしている港北も立ち直った涌井を全然打ち崩す事ができず、

さらに途中から登板したエースの成瀬には絶妙なコントロールで三振の山を築かれてしまい追加点を上げることができず、

回はどんどん進んでいき、ついに最終回まで進みました。


九回表。

ここを0点に乗りきれば港北高校にとっては大々金星ですが、試合はそのまま終ってくれませんでした。

明暗を分けたプレーは一死一塁の場面で起こりました。

少しバウンドの高いゴロがサードに飛んだんですよ。

三塁手は送球を取って一瞬二塁に投げようか躊躇したんですが

バウンドが高かった分、間に合わないと判断し一塁へ送球しました。

しかしバッターランナーの足がかなり速くて一塁もセーフになってしまいました。

これは普通の足だったら間違い無くアウトのタイミングでしたし、

もしゲッツーを取れたとすればそこで試合終了ですから、

サードの判断は悪くなかったと思います。

しかしこれで流れは変わりました。

(確か)ここで港北ベンチは投手交代を選択しました。


ちなみに余談ですが、実は今まで無失点に抑えてきたこの投手は僕と同じ中学の出身で、

高校1年の時は野球をやっていなかったそうです。

しかし2年になって野球部の人に誘われてもう一度野球を始め、

そのブランクを取り戻す為に毎朝相当な距離を走りこんでいたそうです。

しかし結局試合でのスタミナはあまり戻らず、

この試合が今までで最長の投球回数だったそうです。


少し話がそれてしまったのでもう一度試合の方に戻しますが

その後は一言で言ってしまえば・・・ボロボロでした。

火のついた横浜打線が集中打を浴びせて一挙になんと10点を奪い港北に大量の9点リードをつけました。

そしてその裏の港北の攻撃は結局1点も返す事ができず、結局試合は10-1という大差のまま終りました。


最後の最後に実力の差が大きく出てしまったこの試合。

本当に、本当に惜しい試合でした。

しかしどんなに惜しい試合でも勝者は必ず1校。

敗けた港北高校の夏はここで終りました。

しかし港北の健闘は多くの人に勇気を与えてくれたと思います。

そして、無名の公立校でも横浜のような強豪と立派に渡り合えるんだという事を

学ばせてもらった闘いでした。